典型的な三叉神経痛の症状は「激しい発作性の片側顔面痛」が特徴です。顔面ではなく歯痛で始まる事もあり、何本も抜歯治療した後に三叉神経痛と診断される事も少なくありません。
外来に受診される典型的な病歴は
「数年前からものを噛んだり、歯磨きをした時に右歯茎にビリッと激痛が走るようになったんです。」
「最初は虫歯かと思って歯医者さんに行って治療を受けたんですが、抜歯してもちっとも痛みが治まらないんです。」
「そのうち歯だけじゃなく、右の顔にまで痛みが走るようになって・・・」
または
「数年前から時々左頬にビリッと走る激痛が走るようになったんです。」
「あんまり気にしてなかったんですが、ひげ剃りした時や左の口の周りを触ると激痛が走る様になってきました。」
「ここ数ヶ月で痛みが続けて出るようになって・・・、痛みの出る時にはもうなんにも出来ないくらい痛いんです。」
中には
「・・・・・・・」
(喋ると痛みが出てしまうので外来では全く喋られず、ご家族が病状の説明をして下さる)
こんな症状で受診されます。
時に非典型的な三叉神経痛もあります。
顔面の「ビリッとした」発作性の痛みではなく、持続する疼痛を主とするもの。
はっきりとした痛みの誘発ポイントが無い。
など、典型的な症状と少し違う症状を出します。
典型的な三叉神経痛の原因は顔面の感覚を司る「三叉神経」の付け根に血管が圧迫することによって起こるといわれています。血管の圧迫により三叉神経に異常な神経回路ができ、疼痛の原因になると考えられています。
非典型的な三叉神経痛は原因不明な事が多いですが、中にはヘルペスウイルスによる感染、多発性硬化症、脳腫瘍などが原因になっている事があります。
まずは外来での問診です。いつから痛みが出たか、どのような痛みがでるか、現在までの治療の有無、治療を受けられた事のある方は治療の経過、その他の病気がある場合はその治療についても伺います。
MRIによる詳細な画像検査を行います。また、詳細なMRI検査から3D画像を作成し、手術前術野シミュレーション画像の作成を試みています。
三叉神経痛の手術は周囲に聴神経、顔面神経などの重要な神経がありますので、手術が決まったら手術前に検査の必要な方は耳鼻科受診、耳鼻科的検査を受けて頂きます。
循環器系(心・血管系)の病気を持っている方は手術が決まった際には術前に受診をして頂き、全身麻酔などのリスクが無いか判断します。
まずは飲み薬の治療を行います。「テグレトール」という薬を内服します。これによって神経の異常な興奮を抑え、痛みを抑えます。「テグレトール」を内服しても改善しない場合やめまい、ふらつきなどの副作用が出てしまう場合には他の治療法を選択します。
代表的な治療法として以下の治療法がありますが、その選択については施設の設備、主治医の経験や技術に左右される事があります。
耳の後方から手術します。傷は髪の毛の生えている部分の中につけますので、髪の毛が生えてくればほとんど目立ちません。
手術時間は通常約2時間程度で終わりますが、血管が何本も当たっている場合や、太い血管が当たっている場合など難しい症例によってはそれ以上に時間がかかる場合があります。
高齢の方や合併症により全身麻酔のリスクが高く手術の出来ない方の選択肢として放射線治療があります。これは三叉神経に直接放射線を当てて痛みをコントロールする方法です。手術による根治療法に比べると治療成績が劣りますが、手術の出来ない方にとっては良い選択肢となります。
神経ブロックを行う施設もあり、症状に効果的な場合もありますが顔面の知覚神経を人為的に傷害して痛みを感じさせなくする治療のため、後に顔面に痺れが残る事があります。
後に三叉神経痛が再発した際に手術を行っても神経ブロックによる顔面の痺れは改善しません。
当院では年間30例近くの脳神経減圧術(顔面痙攣も合わせた数です)を行っており、脳・脊髄センター医師3名は全て三叉神経痛の手術治療に携わっています。また、放射線治療であるサイバーナイフ治療も当院で行う事が出来ます。当院は日本で数少ない1カ所で手術、定位放射線治療ができる施設です。
三叉神経痛でお悩みの方は当院へ一度ご相談下さい